耳の病気
1:外耳掻痒症(外耳湿疹):かゆみがある
よく耳掃除をすることで痒みが続き、尚更耳かきしてしまうというのが典型的な症状です。あまり、頻繁に耳の中をいじると小さな傷から細菌が入って外耳炎の原因となります。痒みが強い時は受診をして、軟膏(時に痒み止めの内服)で治療することで痒みを抑え、耳かきの頻度を減らすことで多くは改善します。
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耳は、3つの部分に分かれています。耳の穴から鼓膜までが「外耳」、音を鼓膜で受け止め、耳小骨(じしょうこつ)という小さな骨を経由して内耳に伝える「中耳」、三半規管、平衡器官、音の振動を中枢神経に情報として伝える蝸牛(かぎゅう)などからなる「内耳」、の3つです。
風邪の時期になると、とても多い耳の病気として急性中炎があります。特にお子さんに多い耳の病気ですが、鼻風邪として治療を行っていてもなかなか治らず、実は中耳炎になっていたということも多くあります。さらに最近では通年性のアレルギー性鼻炎増え、鼻炎が原因で耳の病気を併発することもあります。しっかりと治療しないと慢性中耳炎や滲出性中耳炎を起こし、場合によっては難聴の原因になることもあるので注意が必要です。安易に自己判断せずに、早めに相談し、きちんと治療を続けることが大切です。
よく耳掃除をすることで痒みが続き、尚更耳かきしてしまうというのが典型的な症状です。あまり、頻繁に耳の中をいじると小さな傷から細菌が入って外耳炎の原因となります。痒みが強い時は受診をして、軟膏(時に痒み止めの内服)で治療することで痒みを抑え、耳かきの頻度を減らすことで多くは改善します。
耳の穴から鼓膜までを外耳といいますが、外耳に細菌が入って起こす炎症が外耳炎です。ウィルスや真菌による感染の場合もあります。指の爪や耳かき棒の先端などで耳の中を引っ掻いて、そこの傷に菌が入って発症する、というのがよくある発症パターンです。耳鏡による視診や触診が行われます。細菌検査による原因の特定も重要です。
治療ですが、まず外耳道の洗浄消毒を行った後、ステロイドや抗生剤の入った塗り薬及び点耳薬が用いられます。痛みが強いと鎮痛剤も必要になります。外耳炎の中には真菌(カビ)に感染して外耳道真菌症を発症することもあります。強い痒みや耳漏、痛みや難聴、耳の閉塞感といった症状が現れます。治療には、外耳の洗浄、抗真菌剤の塗布などの局所治療が主体となります。真菌の落屑物(らくせつぶつ)をきれいに除去する事が大変重要です。
小児が遊んでいて、ビーズやBB弾を入れてしまうことがあります。大人の場合、寝ている間に虫が入った、耳掃除をして綿棒の先などが残ってしまったなどがあります。自分で取ろうとすると、鼓膜や耳の穴を傷つけてしまう場合があります。受診をしていただき専用の器具などで取り除きます。
耳垢には2種類ある事がよく知られています。乾燥しているものと粘性のものです。この違いは遺伝的に決まっていると言われており、日本人は7割が乾燥型です。耳の穴から鼓膜までの外耳道は、正常であれば、耳垢が外側に向かって移動します。その為、耳の奥まで無理に掃除しようとする必要はありません。外耳道には刺激すると快感を覚える神経があって、心地よいものですが、過度の掃除によって傷が付くと外耳炎に至る場合がありますので、注意が必要です。耳掃除は月に1回程度で充分です。小さいお子さんや高齢者の方は耳鼻科で掃除してもらう方が無難です。小児の場合、耳の穴が狭いため為取りにくいことがあります。取りにくい場合には無理せずご遠慮なく受診してください。細かい器具にて取り除くほか、耳垢を溶かす薬など専門的な方法があります。
中耳に生ずる感染症を中耳炎といいます。多くはのどに鼻腔に感染した細菌やウィルスがのどの奥と中耳をつなぐ管(耳管)を通して、中耳に入り込む事が原因で発症します。痛みや発熱、耳閉感(じへいかん)などの症状が見られます。治療は、抗生剤の内服が中心ですが鼻の炎症も伴っていることが多いので吸引やネブライザーなどの耳鼻咽喉科で行う処置も効果的です。
耳正常鼓膜
中耳炎初期
中耳炎中程度
急性中耳炎同様幼少期の代表的な病気の一つです。鼻水がなかなか治らないや急性中耳炎の症状が治ったのちに、鼓膜の中、中耳という場所に水が貯まった状態です。多少耳が詰まっているかなといった程度の症状です。しかしながらこの状態が長期化すると、中耳の発育の悪化、難聴が出現、将来慢性中耳炎や中耳真珠腫の原因となります。治療としては処置や内服でなかなか改善しない場合には鼓膜切開、鼓膜にチューブを挿入する処置を行います。まずは、鼻風邪をひかない、またはひいた時はすぐに治療をすることでケアするのが重要です。
症状には乏しいですが、将来の合併症を予防する為にもしっかりと治療を行うことが大事です。大人に見られることは珍しいですが、時に上咽頭(鼻の奥)に腫瘍が認められることがあります。耳や鼻の処置のみでなく、内視鏡検査で上咽頭をチェックしておくことが重要です。
鼓膜や耳の皮膚の一部が鼓膜の中に入り込み袋状(真珠腫)となりそこに角化物(いわゆる垢)が貯まり大きくなることで、ゆっくりと周りの骨を破壊してゆきます。原因は充分に解明されていませんが、幼少期に急性中耳炎や滲出性中耳炎を繰り返している例が多く見られます。多くは無症状で経過する為、ある程度大きくなった状態すなわち中耳の骨が破壊された状態で耳だれや難聴で発見されます。
基本的に手術治療が必要となりますが、症状が軽度であったり、高齢者であった場合は感染の予防や処置で経過を見てゆくことがあります。
癒着性中耳炎というのは、鼓膜が奥の鼓室内の壁に張り付いて、癒着してしまっており、鼓膜がよく振動せず、音を伝えられないため、難聴をきたしたり、また、感染を繰り返しおこし、耳漏れという症状をきたします。
突然、何の前触れもなく、耳が聞こえなくなる病気を突発性難聴と言いますが、詳しくは解明されていません。内耳のヘルペスウィルスや循環障害が原因など言われていますが今のところ原因は特定されていません。症状は突然の難聴となりますが、加えて耳鳴りやめまいが出現します。まずは、原因のある、騒音性難聴や聴神経腫瘍、滲出性中耳炎などの疾患ではないかを確認することが重要です。また、ストレスや不眠が原因と言われている急性低音障害型感音難聴ではないかを確認することも重要となります。まずは、速やかに受診され診察や聴力検査などと受けられることをお勧めします。 ステロイドや循環改善薬などの内服や高圧酸素療法が治療選択肢となりますが、症状が出てから2週間以上経過してからの初回治療は改善率が不良となると言われています。耳鳴りや難聴の症状が出現した際にはなるべく早期に受診をお勧めします。
比較的若年の女性に多く、耳詰まり感や耳鳴りなどが症状となります。症状が強くなるとめまいなどを伴うことも多く、今までは突発性難聴と言われるケースも多い疾患です。突発性難聴と比較すると、聴力検査をしてみると低い音(500HZ以下)のみの聴力低下を認めていて、軽度であればよく睡眠を取ることのみで改善します。
耳鳴りや耳詰まり感の症状が数日持続する際には受診し、聴力検査や診察を受けましょう。ステロイドや利尿薬、循環改善薬の内服で治療をします。内耳のむくみが原因と言われており、約30%程度は再発を繰り返します。めまいを伴うとメニエール病と呼ばれます。体調管理が重要で、時に漢方が処方されます。
老人性難聴とも言います。症状は年齢と共に顕著になる聴力の低下です。『音に対する聞く能力の低下』に加えて、『言葉を聞き分ける能力』も低下して行きます。個人差がありますが、60歳程度を過ぎたぐらいから高い音から顕著に聞こえにくくなってゆきます。基本的には、投薬や手術で改善することは困難ですので聴力検査にて適応があれば補聴器の購入をお勧めいたします。
コンサートや工事現場や工場などの職場にて大きな音にさらされた後に、耳鳴りや聞こえにくさを自覚されます。聴力の低下が重症である場合、めまいを伴う場合があります。なるべく早期に受診され、1週間以内に治療を開始することが重要となります。治療はステロイドや循環改善薬などの内服となります。
職場などある程度大きな音の環境下に年単位などの長期間さらされた後に起きる難聴です。4000Hzという比較的高音域から難聴が始まるという特徴があります。そこからさらに高音域に難聴が進行し、最後は全音域となります。耳栓やイヤーマフなどでの耳の防護が重要になります。
検査上の異常は脳波の上でも無いのですが、音が聞こえたと感じることができない状態です。逆に自覚症状が何も無いのに学校検診での聴力検査で難聴を指摘されるケースもあります。学童期に多く見られ、学校生活や家庭内でのストレスが原因となっていることが多いです。8〜10才を中心として、女児に多い傾向があります。
原因となる病気がないか検査をした上で、何もなければ環境要因などに気を配りながら経過観察を行います。3年程度の長期に観察すると7割程度が自然に改善することが知られています。
聞こえにくい、耳鳴りの症状にて受診し、念のためMRIを行うことで稀に発見されることが一般的です。腫瘍自体は聴神経の中の前庭神経(めまいの神経)に出来る良性腫瘍です。大きくなることで蝸牛神経(聞こえの神経)を圧迫することでめまいよりも難聴の症状が出現します。
耳詰まり感の症状が主となります。耳と鼻をつなぐ管(耳管)は通常、飲み込む動作やあくびで一時的に開き中耳の圧抜き(耳抜き)をしますが、それらの動作でも開かず、圧が抜けないような状況です。鼻の奥に耳管の入り口があるため、そこに金属の管を入れて空気を送り開く処置にて改善することがあります。アレルギーや風邪などの腫れやむくみが原因の場合があるため、その際には内服で治療します。
耳管狭窄症とは逆に耳と鼻をつなぐ管(耳管)が開きっぱなしの状態です。症状は似ており、耳詰まり感、自分の声が響くというような症状です。急な体重減少などのタイミングで起きることが良く知られています。頭を下げる、横になる、鼻をすすると症状が楽になるというのが特徴的です。生理食塩水の点鼻や内服などで治療を行います。
外耳炎や外耳湿疹が悪化したり、ピアスの穴から感染を起こしたりしたため耳が真っ赤に腫れ上がった状態です。耳のほとんどは軟骨で出来ているため感染を起こすとすぐに軟骨に感染が及びます。ここまで感染が進むと内服薬場合によっては点滴の抗生物質にての治療となります。
レスリングや柔道、ラグビーなど耳を擦ったり、ぶつけたりした時に耳の上側の皮膚の下(皮下)に血が溜まった状態です。日が経つと血が固まり耳が変形してしまうことがあるため、針などで溜まった血を抜きますがまた血が溜まってしまうことが多く、血を抜いた後に圧迫が必要となることが多いです。
火曜日午前中に予約制で、補聴器をつけての聴こえの検査(補聴器適合判定)と補聴器試聴、調整を行っております。日本耳鼻咽喉科学会補聴器相談医および厚生労働省主催補聴器適合判定医師である院長の診察後にマキチエ補聴器の社員と相談することになっております。
補聴器相談医である医師が必ず診察しております。
補聴器装用希望の方、現在装用中の補聴器の聞こえに合っているのかご心配な方は、まず通常外来にて、どうぞお気軽にご相談ください。
医師の診察と必要な聴力検査を受けた上で、適切な状態に調整された補聴器の装用をお勧めします。
まず聴こえに関する訴えに対して、適切な診断と補聴器の適応について検討します。
難聴の原因は様々です。
治療により聴力の改善が難しい状況なのか判断するのが医師の役目です。
そして、治療により改善が見込めない場合、補聴器装用で失われた機能を補うことになります。
疾患にかかわらず、聴こえに関して不自由を感じる方は補聴器装用の適応となります。
その適応は一般的には両耳45dB以上といわれていますが言葉の聞き取りと生活環境等も考慮が必要です。
などです。
身体障害に該当する聴こえの方は、身体障害者手帳を取得の上での補聴器作成をお勧めします。
検査上、該当する方には手続きについてご説明いたします。
当院にて「身体障害者診断書・意見書」「補装具費支給意見書」の作成は可能です。
まず、通常外来で耳の疾患がないかどうかをチェックし、治療を要する疾患があればそちらの治療を優先します。
これが一番重要です。次に音の聞き取りの検査(標準純音聴力検査)、言葉の聞き取りの検査(語音聴力検査)を行います。検査結果からも補聴器装用の適応があれば、補聴器外来の予約を取ります。
月曜午前の補聴器外来では、検査結果を元に、補聴器の調整を行い試聴していただきます。
貸し出し期間は1~2週間です。
補聴器外来では保険診療の再診料がかかりますが、補聴器の調整、試聴、貸し出しは無料です。
試聴をしていただき納得されれば、業者さんから購入となります。
不都合があれば再調整または機種変更の上、再度お貸し出しとなります。
もし、他の業者さんがご希望の場合は、検査結果をお渡しいたしますので遠慮なく申し出てください。
装用開始後約1ヶ月経過の時点で装用状況のチェックと補聴器をつけた状態で、スピーカから出た音・言葉への聞き取りを測定する検査(装用時検査)を行い、必要に応じて再調整をします。
効果が自覚的に、また検査上も認められれば、その調整で装用継続となります。
その後は半年~1年に1回はでの聴力検査で聴こえの管理を行います。
(補聴器は医療機器ですので、3ヶ月に1回は点検が必要です。)
平成30年度から、「補聴器相談医」の資格を持つ医師が発行した「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」と「補聴器の領収書」があれば、補聴器購入費は確定申告で医療費控除の対象となりました。詳細についてはこちらをご参照ください。